2011年05月10日
ボクとモグラの100日戦争
いつものように保育園にお迎えに行くと、園長先生が園庭を掘り返しています。
何か植えるのかしら。
なんて思って見ていたら、翌日そこに生えていたのは苗ではなく奇妙な物体でした。
高さは20センチほど。
濃い緑色の棒の先に10センチ四方の太陽光パネルが付いています。
蓄電して夜足元でも照らすのかしら。
なんて思いましたが、電灯らしきものは見えません。
それにこれから日も長くなるので、電灯なんかいらないでしょう。
数日経つと、その緑の棒は少し違う位置に引っ越していました。
それに、そのそばを通るたびに
「うぃーん」
と不気味な音がするのです。
なんだか足元を狙い撃ちされそうです。
さらに数日経つと、また別の場所に引っ越しています。
こんなことの繰り返しで、とうとう芝生のきれいだった園庭は穴ぼこだらけになってしまいました。
「あれは一体何でしょう」
私は保育園の人に聞きました。
「あの前を通るたびに変な音がするんです。
センサーかなんかで、不審者でも監視してるんでしょうか」
「そうです。不審者がいるのです」
保育園の人はうなずきました。
「入ってこないようあれを設置したのですが、なかなかうまくいきません」
「どこから入ってくるのですか」
その人は指を下に向けました。
「地面を掘ってやってくるのです。毛むくじゃらで、おおきな手をスコップのように動かしてトンネルを掘って侵入してくるのです」
なんと、不審者はモグラでした。
「最初は忌避剤をまきました。でもちゃんとそれをよけて掘り進むんです。
もし餌にぶち当たってもポイポイと放り投げて見向きもしません。
次にご覧のセンサーを埋めました。
モグラが嫌がる音が出るそうです。
それでも彼らは出て行きません。
園長はトンネルを見つけるたびにそこにセンサーを埋め替えるのですが、次の日にはそこから離れたところの土が盛り上がっているだけです」
美しい庭が穴だらけになったのは決して園長のせいだけではなかったのです。
そういえば、もともと保育園は田んぼに囲まれていたのに、去年隣にアパートが建ちました。
モグラはそこを追い出されて保育園にやってきたのでしょうか。
「園長はとうとうワナをしかけることにしたそうです。
今日にでも買ってくるでしょう。
私はこれを眺めながら、
『ボクとモグラの100日戦争』
と名付けました。
園長の戦いはまだまだ続きそうです」
その人はこう言って話をしめくくりました。
保育園には畑があるでもなく、いっそ
「モグラのモグちゃん」
とかなんとか名付けてかわいがってやればいいのに、
などと、他人事らしくのんきに思いながら話を聞き終えました。
何か植えるのかしら。
なんて思って見ていたら、翌日そこに生えていたのは苗ではなく奇妙な物体でした。
高さは20センチほど。
濃い緑色の棒の先に10センチ四方の太陽光パネルが付いています。
蓄電して夜足元でも照らすのかしら。
なんて思いましたが、電灯らしきものは見えません。
それにこれから日も長くなるので、電灯なんかいらないでしょう。
数日経つと、その緑の棒は少し違う位置に引っ越していました。
それに、そのそばを通るたびに
「うぃーん」
と不気味な音がするのです。
なんだか足元を狙い撃ちされそうです。
さらに数日経つと、また別の場所に引っ越しています。
こんなことの繰り返しで、とうとう芝生のきれいだった園庭は穴ぼこだらけになってしまいました。
「あれは一体何でしょう」
私は保育園の人に聞きました。
「あの前を通るたびに変な音がするんです。
センサーかなんかで、不審者でも監視してるんでしょうか」
「そうです。不審者がいるのです」
保育園の人はうなずきました。
「入ってこないようあれを設置したのですが、なかなかうまくいきません」
「どこから入ってくるのですか」
その人は指を下に向けました。
「地面を掘ってやってくるのです。毛むくじゃらで、おおきな手をスコップのように動かしてトンネルを掘って侵入してくるのです」
なんと、不審者はモグラでした。
「最初は忌避剤をまきました。でもちゃんとそれをよけて掘り進むんです。
もし餌にぶち当たってもポイポイと放り投げて見向きもしません。
次にご覧のセンサーを埋めました。
モグラが嫌がる音が出るそうです。
それでも彼らは出て行きません。
園長はトンネルを見つけるたびにそこにセンサーを埋め替えるのですが、次の日にはそこから離れたところの土が盛り上がっているだけです」
美しい庭が穴だらけになったのは決して園長のせいだけではなかったのです。
そういえば、もともと保育園は田んぼに囲まれていたのに、去年隣にアパートが建ちました。
モグラはそこを追い出されて保育園にやってきたのでしょうか。
「園長はとうとうワナをしかけることにしたそうです。
今日にでも買ってくるでしょう。
私はこれを眺めながら、
『ボクとモグラの100日戦争』
と名付けました。
園長の戦いはまだまだ続きそうです」
その人はこう言って話をしめくくりました。
保育園には畑があるでもなく、いっそ
「モグラのモグちゃん」
とかなんとか名付けてかわいがってやればいいのに、
などと、他人事らしくのんきに思いながら話を聞き終えました。
Posted by 灰色猫屋 at 19:17│Comments(0)
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