魔女、餅をつく
大みそかの夜、ヨーロッパではかさこ地蔵の代わりに魔女のおばーさんが餅や醤油をもってくるそうな・・・(嘘)
年末の大掃除をしていると、電話のベルが鳴りました。
受話器を取ると、
「・・・魔女じゃ。餅がつけた。取りに来い」
そう言って、ぶつりと切れました・・・。
そこで子どもたちを車に乗せ、お礼の品を用意し、魔女の館に向かいました。
古びた扉をぎしぎしと開けて
「ごめんください」
と叫ぶと、奥の薄暗い部屋からごとごと音がし、魔女のおばーさんが大きな袋を提げて現われました。
「よく来たな。これが餅じゃ。昨日ついたのじゃ」
見たところ100個はありそうです。
一瞬モッフルを買おうかと思いました。
そんな私の思惑をよそに、魔女のおばーさんは
「お前の家はよく餅を食うか」
と目を光らせながら尋ねました。
とても「いいえ」なんて言えません。
「よしよし。もうひと袋やろう。こっちは去年の米でついたからはよう食え」
魔女のおばーさんは相好をくずして土間に置いてあった大袋をさらに加えました。
帰りしな、魔女のおばーさんは
「この前、手紙が届いたぞ。おとーサンタに『子どもたちからの便りじゃ』と言うたら、手紙ひっつかんで大慌てで持っていってしもうた」
と言いました。
手紙はちゃんと届いたようです。
子どもたちも、
「よかったー、届いて」
と嬉しそうでした。
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